作曲・音楽理論 実践編曲講座

はじめに

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この講座では、メロディーを作ったはいいが、どうやってコードを付けて良いのかわからないという方を対象にアレンジの方法について丁寧に解説していきます。鼻歌を作るくらいなら誰でもできると思いますが、それにコードを付けて楽曲として完成させるとなるとなかなか難しいものです。しかし、それができないといつまで経っても曲は完成しません。オリジナルを目指す方にとっては避けて通れない関門です。本題に入る前に、前提となる事柄についてあらかじめ述べておきましょう。

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予備知識

ここでは一応、楽譜は読めることを前提としています。もし読めないという方は入門書がいくらでも出ていますので、それらを参考に勉強して下さい。小学校で習うくらいですからそんなに難しいものではないはずです。

またポピュラー音楽で一般的に用いられるコードのしくみについては、「ゼロからつくる作曲講座」で基礎から解説していますので、これも予備知識としてすでに知っているものとします。自信のない方はあらかじめ読んでおかれることをおすすめします。

作曲と編曲

作曲と編曲はどう違うのか? これは時代によってもシチュエーションによっても線引きがなかなか難しい問題だと思います。昔から用いられている非常に狭い意味でいうと、旋律(メロディー)を作ることが作曲であり、それにコードを付けたり楽器を割り振ったりして楽曲を完成させることが編曲ということになります。確かにそれは間違いではないのですが、現代のようにコンピュータを使って楽曲制作を行うことが普通になってくると、作曲者も編曲にタッチするのはむしろ普通のことで、場合によっては作曲も編曲も一人でやってしまうというケースも往々にしてあります。特にDTMで曲を作っているような方だと圧倒的にこのパターンが多いでしょう。

ですから昔の大作曲家のようにメロディーだけ書いて「あとは頼む!」って編曲家に丸投げできるくらい偉い人(?)じゃなければ、作曲者も編曲のことをある程度知っておくべきですし、逆にそうでなければこれからの作曲家はやっていけないと思います。作曲はメロディーを作ったら終わりではないのです。メロディーとコードは一体のものであり、常にその関係を把握しておくことは、作曲する上でも大きな助けになるはずです。

メロディーが先かコードが先か?

ゼロからつくる作曲講座」では先にコード進行を作って、それにメロディーを乗せていくという方法について解説しました。その方が曲などまったく作ったことがない、メロディーなんて思い浮かぶわけがないという方にとって、より機械的で取っつきやすい方法だと思われるからです。

しかし実際の作曲では、散歩してたら突然メロディーが天から降ってきたとか、ピアノを弾いていたら偶然いいフレーズができたとか、メロディーが先にあるケースも珍しくありません。普段はコード先行で作っている人でもケースバイケースでメロディー先行になったりするのもよくあることです。またアレンジを練っているうちにどうしてもコードと音がぶつかってしまうのでメロディーの方を修正しなければならないこともあります。ですからメロディーが先かコードが先かという議論はあまり意味がなくて、実際にはメロディーとコードを常に行ったり来たりしながら作曲しているというのが現実に近いでしょう。

編曲を学ぶにはコード進行のない伝統曲が良い題材

この講座では編曲がテーマですから、新しいメロディーを作るのではなく、すでにあるメロディーに対してコードを付けていくことを主題とします。その際、どんな曲を題材にするのが良いか?という話です。もちろんお気に入りのヒット曲などでもいいのですが、こういうポピュラー音楽は作曲者自身が付けたオリジナルのコード進行というものがすでにありますので、どうしてもそのイメージに左右されがちです。オリジナルをまったく忘れて新しいコード進行を作れと言われても、普通はなかなかできないでしょう。そのくらいオリジナルのイメージは強烈です。これはコード付けというよりは、すでにあるコード進行をまったく新しいものに置き換えることに相当し、専門用語ではリハーモナイズとかリハモナイゼーションといいます。それも立派なアレンジの一つですが、この講座では扱わないものとします(それ以前に著作権の関係で載せられないという問題もありますが)。

一方、古くから伝わる民謡や童謡、いわゆる伝統曲にはオリジナルのコード進行というものが存在しません。これらは決まった楽譜というものもなく、口伝えで伝承されてきたものだからです。現在耳にする伝統曲はもちろん何らかの伴奏を付けて歌われていますが、それは後世の人が付けたもので、はじめからあったものではありません。そして実にさまざまなバージョンがあることもわかるでしょう。同じメロディーであってもアレンジ次第でまったく別のイメージに聴かせることが可能なのです。ですから、こういう伝統曲を題材にしてコード付けを考えることが編曲の最も良い勉強になります。

答えは一つではない

慣れないうちはメロディーにどんなコードを付けたらいいのかまったく見当も付かないかもしれませんが、少し慣れてくるとパッパッとすぐ出てくるようになります。そして一つのメロディーに対して付けられるコードは決して一つではないということもわかってくるでしょう。経験を積んで自分の中の「引き出し」が増えてくるほど、付けられるコードの選択肢も増えてくるのです。音楽は数学ではありませんから、どれが正解でどれが間違いということもありません。どのコードを選ぶかは編曲者のセンスによるところが大きく、それこそが個性だとも言えます。ですからここで紹介するコード付けも一例に過ぎませんし、絶対こうしなければならないというものでもありません。自分が付けたコードの方がもっといいと思ったら、それに自信を持てば良いのです。

メロディーには一切手を加えない

既存曲をアレンジする場合、メロディーに手を加えるかどうかは判断の分かれるところでしょう。特にジャズではメロディーそのものを自由に作り替える(フェイク)のがむしろ当たり前です。また作曲をするときにも、一度作ったメロディーをコードとうまく合わせるために修正するようなことも時々あります。ただそれをやっちゃうとまたメロディーが先かコードが先かという議論になってしまうわけで、両方いじり出すときりがなくなります。この講座ではすでにあるメロディーに対してコードを付けることに主眼を置いていますので、オリジナルのメロディーは尊重して一切手を加えないものとします。

ここで使用する課題曲

では最後に、この講座で使用する課題曲についてご紹介しましょう。先ほど、オリジナルのコード進行がない伝統曲が良いと言いましたが、ここでは有名なアイルランド民謡である「ロンドンデリーの歌」を選びました。別名「ダニーボーイ」とも呼ばれます。

この曲を選んだ理由ですが、まず比較的よく知られているメロディーであること、そして原曲がハ長調なのでわかりやすいこと、全体で16小節と程よい長さに収まっていること、短いながらも起承転結がきちんとあること、コードのいじり甲斐があることなどが挙げられます。

まずオリジナルのメロディーを以下の楽譜に示しておきます。もちろんこの段階ではコードは何も付いていません。この楽譜を元にして、これからコード付けを勉強していくわけです。またすぐ音を聴けるように、MIDIファイルも用意しましたのでご利用下さい。

Londonderry_Air_melody

MIDIファイル:Londonderry_Air_melody.mid

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