ピアノ 楽器

4:3のリズムを身に付ける方法

投稿日:2016年3月15日 更新日:

ピアノを弾き始めると誰しも「憧れの曲」というものがあると思いますが、中でも多いのはショパンの「幻想即興曲」ではないでしょうか? 確かにこれが弾けるとむちゃくちゃカッコイイですね。しかしこの曲は難曲としても知られています。どこが難しいのかというと、右手が16分音符4つを弾く間に左手がそれを3つに分けた3連符を弾くという「4:3のリズム」が終始繰り返されるからです。しかもテンポがものすごく速い。これを弾ける人を尊敬してしまいます。(笑)

この4:3のリズムというのは人間にとって最も難しいものの一つです。試しに机を叩きながら、「左手で4つ打つ間に右手で3つ打ってみて」と言えば、普通の人にはまずできません。必ずどちらかに引きずられてしまうからです。例えばA4の用紙を三つ折りにする機会というのはよくあると思いますが、均等に折ることはなかなか難しいですよね。それと同じで、人間は半分や1/4にすることは簡単でも、3等分するということは非常に苦手なのです。

では幻想即興曲を弾くことは永遠に不可能なのか? 生まれつきの特殊な才能がなければ無理なのか? 安心して下さい、そんなことはありません。実はこのリズムを完璧に身に付ける方法があるのです。それはセンスに頼るのではなく数学ですから、誰がやっても確実にできます。今からその方法について解説していきましょう。

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例として、下のような譜面があったとします。こういうのはポピュラー音楽でもよく見かけるパターンですね。たいていの人は「だいたいこんな感じ」と「勘」で弾いていることが多いと思いますが、自分の演奏を録音して聴いてみるとたいがい3連符が均等になっていないことが多いものです。

4_3_rythm_score

この場合、左手が4つ弾く間に右手が3つ弾くわけですが、最初の音を除いて両手が一致するところがどこにもないですよね。だから難しいのです。これが普通の4分音符や16分音符であれば必ずどこかで拍に一致するタイミングがありますから、それを手がかりに両手を合わせることが可能です。それならば拍に一致するタイミングがないときは無理やり作ってしまえばよいのです。

そのためには数学で言う「最小公倍数」という考え方を導入します。最小公倍数というのは2つの数のどちらの倍数にもなる最小の数という意味ですが、4と3の最小公倍数は4×3=12となります。12は4でも3でも割り切れることはすぐおわかりですね。そしてこの最小公倍数を使って、8分音符4つと3連符からなる一つのグループを12等分して図解すると次のようになります。

4_3_rythm_1

すると左手は12等分した単位の3つずつ、右手は4つずつ弾けばよいことがわかります。といってもそれだけで弾くことは難しいので、どちらかの手を基準に考えることにしましょう。この場合、当然左手の8分音符を基準にするのが自然です。なぜなら8分音符は完全に拍にはまっているのでタイミングを取りやすいからです。

要は左手を基準にして、右手がどのタイミングで弾けばよいのか?を把握すればよいのです。まず最初の1音は左手と同時に弾くことはおわかりですね。問題は2つめと3つめの音がどこで入るか?です。上の図からは左手が2番目の8分音符を弾いた直後に右手が2つめの音を弾き(5のタイミング)、左手が4つめの8分音符を弾く直前に右手が3つめの音を弾く(9のタイミング)ということがわかります。また3つめの8分音符(7のタイミング)を中心にして左右対称になっていることもわかりますね。ここまでわかればかなり頭が整理されてくるはずです。つまり右手が弾くのは「2つめの8分音符の直後と4つめの8分音符の直前」です。

ただ上のように数字で表現すると声に出して数えることが難しいので、音でリズム化することを考えましょう。別に何でもいいのですが、例えば下のように8分音符1個を3分割して「ズタタ」という音で表現することにします。「ズタタ」を4回繰り返すと1サイクルになります。そしてこれを声に出しながら弾くのです。

4_3_rythm_2

まず「ズ」のタイミングで左手の8分音符を弾くことはおわかりですね。それに右手の音を合わせていけばよいわけです。1回目の「ズタタ」の「ズ」で両手同時に弾いた後、2回目の「ズ」で左手の2番目の音、上の楽譜で言うと「ラ」の音を弾きます。そしてすかさず次の「タ」のタイミングで右手の2番目の音、すなわち「ミ」の音を弾くわけです。そして3回目の「ズ」で左手の3番目の音、すなわち「ド」の音を弾きます。ここまでは割と簡単にできると思います。

一番難しいのは右手の3番目の音、すなわち「ファ」の音のタイミングだと思います。ここは3回目の「ズタタ」で左手の3番目の音を弾いて一呼吸おいた後に右手の3番目の音が入ります。つまり「ズタタ」の一番後の「タ」のタイミングです。この一呼吸おく感覚が慣れないとなかなか難しいと思うのですが、ズタタズタタ・・と言いながらやれば「タ」を1個挟む感覚がわかってくると思います。そして右手が3番目の音を弾いた直後の「ズ」で左手が4番目の音、すなわち「ラ」の音を弾きます。これは前半部分とちょうど逆の関係ですね。あとは「タタ」と2つ分待ちを入れて再び頭に戻り1サイクル完成です。

最初はこれをものすごくゆっくりやって下さい。ズタタズタタ・・と声に出して一つずつ確認していけば誰にでもできるはずです。いきなりピアノを弾くのが難しければ両手で机を叩くだけでも構いません。それでもリズムは身に付きます。慣れてくれば徐々にテンポを上げていって下さい。そして右手と左手を入れ替えてどちらでもできるように練習して下さい。幻想即興曲は上の楽譜とは逆のパターンになります。

不思議なもので、この練習を何十回も繰り返していると体がリズムを覚えてきて、意識しなくても自然に指が動くようになります。そこまでいけばしめたものです。一度演奏を録音してみて、正確に3連符を弾けていることを確認してみるといいでしょう。この方法が身に付けば誰でも3連符をきわめて正確に弾けるようになります。これは数学ですから間違いようがないのです。また5連符や7連符などさらに複雑なリズムにも最小公倍数の考え方を応用することが可能です。

この4:3のリズムというのは独特の雰囲気があって、完璧に弾けると非常にカッコイイので是非ともマスターしたいものです。僕もゆっくりであれば幻想即興曲を弾けそうな気がしてきました。この練習はピアノがなくてもどこででも可能です。机がなければ膝を叩いても構いません。電車の中とか、退屈な会議中とか(笑)、ちょっとした空き時間で可能なので暇つぶしにでもやってみて下さい。

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