Aria FET-01FX(エレアコギター)レビュー

スポンサーリンク

fet01fx_1

2年前にアコギを売却して以来、クラシックギターしか持っていなかったのですが、久しぶりに新しいエレアコを買いました。前買ったクラシックギターはAriaだったのですが、今回もまたAriaになってしまいました(笑)。何と言ってもAriaはコスパ抜群なんですよね・・。買ったのはElecordシリーズのFET-01FXというエレアコモデルです。

別にライブをやらなければエレアコって要らないんですが、純粋なアコギでカッタウェイの入ったモデルってあまりないんですよね・・。それにレコーディングにはやはりピックアップがあった方が便利なので、結局エレアコから選ぶことにしました。といっても予算が限られてますので、4万円以下という条件の中ではそれほど選択肢もなく、最もコストパフォーマンスが良さそうなこのモデルに自動的に決まったのでした。

一応定価は税抜34,000円なんですが、楽器店で買うと2万円台後半くらい、Amazonだと25,000円を切るところもあります。Amazon直販の場合もありますが、僕は前回クラシックギターを買ったのと同じ愛曲楽器さんで再び購入しました。何となくAmazonでギターを買うのって倉庫からそのまま送ってきそうな気がするので(笑)、不安があるんですよね。ちゃんとした楽器屋さんを通して買った方が一応検品もしてるだろうし安心感があります。


※この商品は既に生産完了のため流通在庫のみとなります。

それで購入の際に一番悩んだのはカラーの選択ですね。現在6カラーが用意されていますが、僕は基本的に木材の素材感を生かしたナチュラル系が好きなんです。ただこのモデルのナチュラルはトップだけでなくサイドバックも同じ白っぽい色なのがいまいち気に入らないんですね。やっぱりサイドバックは濃いめの色の方が引き締まって見えます。そうすると一番木材感に近いのはサンバーストなんですが、ちょっとトップの黄色が派手すぎるのが気になります。もう少し渋い色ならカッコいいんですが・・。というわけでどっちにも決めかねていたところ、絶妙なタイミングで新色のグリーンが登場したのです。これを見てかなり一目惚れしましたね。もともとグリーンが好きだったのと、グリーンのギターってあまり見ないですからね・・。まるで買えと言わんばかりのタイミングだったので迷わずグリーンに決定いたしました(笑)。

愛曲楽器さんに注文してから3日後に届きました。基本的にギターは取り寄せになりますから、在庫品でない限り即日発送ということにはなりません。逆にすぐ届いた方が怖いですね(笑)。Ariaは名古屋のメーカーで、愛曲楽器も名古屋ですから取り寄せが早いんじゃないか?という思いもありましたね。

ギターを通販で買うのはあまりおすすめできないんでしょうけど、楽器店に現物がないと結局通販に頼らざるを得ないんですよね・・。ただこのモデルも情報が非常に少なく、メーカーのサイトから得られる以外の情報がほとんどありませんでした。現物を見ずに買うというのは不安がありましたが、Ariaのギターなら大きな間違いはないだろうと信じて買いました。細部の詳細がほとんどわからない状態でしたので、この記事では写真を多く交えながら、これから購入を考えている方のためにレビューしてみたいと思います。

fet01fx_2
トップの素材はフレイムド・ナトーが使われています。いわゆるトラ杢が美しいですね。ナトーはネックにはよく使われる素材ですが、硬い材なので高域特性に優れると言われています。またトップは光沢仕上げとなっていて、きれいなグリーンの塗装が映えます。

なおAriaのグローバルサイトではなぜかフレイムド・メイプルとなっているのが気になって荒井貿易に問い合わせてみました。木目はメイプルに似ているので国内サイトの仕様は誤植かと思ったのです。すると回答は同じ型番でも国内向けと海外向けではトップの素材が違うということでした。どちらも硬い材ですから音響特性的にはほぼ同じのはずですが、やはりコスト的な理由らしいですね。

fet01fx_3
バックの素材はアッシュという木材が使われています。独特な木目が特徴です。アッシュはエレキギターにはよく用いられる材ですが、アコギに使われることはかなり稀です。これも硬い材ですので、明るくメリハリのあるサウンドが期待できます。またサイドバックは艶消し仕上げとなっています。手触りがサラサラして気持ちいいので、光沢仕上げのように張り付く感じがないのは良いですね。

fet01fx_4
サイドも同じくアッシュです。こうやって見ると、エレアコにしてはかなり厚みもあることがわかるでしょう。

ここでサイズについて実測値を示しておきます。ボディーサイズはくびれた部分の幅が226mm、最大幅が381mmでした。またボディー厚はネック側が94mm、エンドピン側が105mmでした。この数値から見てもやや小振りであることがわかります。概ね一般的なフォークタイプと幅・厚みが近く、小柄な方や女性でも抱えやすいサイズになっています。

fet01fx_5
ヘッドは中央がくびれた特徴的なスタイルで、Ariaのアコギに共通する形状です。個人的にはこのデザインが好きです。

fet01fx_6
ヘッドの裏側。ペグは一般的なシールドタイプです。お約束のMade in Chinaシールが輝いています(笑)。

fet01fx_7
ペグは大型で操作しやすく、回転も滑らかです。トルク調整ネジも付いています。このクラスのアコギはペグが粗悪なものが多いですが、そんなことはありませんでした。

fet01fx_18
ネックの素材はナトーが使われています。マホガニー、メイプルとともにネックにはよく用いられる材ですが、比較的ローコストなモデルに使われることが多いようです。塗装はしてあっても木目がしっかり見えるのはいいですね。

fet01fx_8
指板はオーソドックスなローズウッドです。ポジションマークは単なるドットではなくて、スノーフレークのインレイが入っていてちょっとだけお洒落です。個人的にはこのくらいのデザインが派手すぎず地味すぎずちょうど良い感じです。

fet01fx_9
サウンドホール周りにはアバロンのインレイが入っていて高級感があります。

fet01fx_10
この価格帯では通常あり得ないことですが、何とウッドバインディングが採用されています。これだけでかなり高級感が増します。

fet01fx_11
ネックヒール部にストラップピンは付いていません。

fet01fx_12
ナットの素材はTUSQです。ナット幅は42mmとやや狭めです。

fet01fx_13
サドルも同じくTUSQです。

fet01fx_14
エンドピンはプラスチックじゃなくて金属製なので高級感があります。

fet01fx_15
これがプリアンプです。Ariaのオリジナルのようですね。Low, Middle, Highの3バンドEQに加えて、位相を反転させるPhaseボタンも付いています。またこのモデルの特徴としてエフェクターも内蔵しており、リバーブ/ディレイ、コーラス/ワイドから2種類を同時にかけることができます。ボリュームでかかり具合を調整できますが、このボリュームはちょっと特殊な構造で、中央まで回すとエフェクトの種類が切り替わるようになっています。そのためリバーブとディレイ、コーラスとワイドを同時に使うことはできません。まあ僕はあまり使うことはないと思いますが、ライブをやる方ならエフェクターを持ち歩かなくて済むので便利に使えそうです。

そしてクロマチックチューナーも内蔵されています。半音単位で音高を判別できるため、変則チューニングにも柔軟に対応できます。表示方法は一般的な+-式です。チューニングが合うと中央のグリーンLEDが点灯します。

fet01fx_16
出力ジャックはエンドピン兼用ではなく、ボディー下部に別にあります。電源は006P 9V電池を1個使用します。電池ボックスがこの部分にあるのもAriaの特徴ですね。

fet01fx_17
あと気になるのは弦高ですね。たいがいのギターは買った状態では高すぎるものが多いんですが、このギターは実測してみると12フレット6弦で2.7mmくらいでした。これは高すぎず低すぎず理想的な弦高です。Ariaは初心者を意識してか、初めから低めに設定されているものが多いようです。

弾き心地は?

やや小振りなサイズなので、ドレッドノートに比べると抱えやすく、弾きやすく感じます。弦高も低いので弾きやすさは抜群ですね。ネックが細めなので、6弦を親指で押さえるような弾き方もやりやすくなっています。その反面、ソロを弾くにはちょっと窮屈に感じるかもしれません。

音質は?

肝心の音ですが、トップ・サイドバックともに硬い材が使われていることから、やはり明るく輪郭のはっきりしたサウンドが特徴です。高音弦はかなりきらびやかな音ですね。低音もボディー厚が普通にあるのでそこそこ出ます。ドレッドノートのような重量感のある低音は望めませんが、生音でも十分使えるレベルだと思います。もちろん人によって好みはあるでしょうけど、僕はこの音が気に入りました。

ピックアップを通した音もそんなに不自然ではないので、これはこれで楽しめると思います。EQで自在に音作りできる上に、エフェクターも付いているのでこれ一本でライブではかなり重宝するのではないでしょうか? エレアコはボディーの薄いものが多いのでどうしても低音が弱くなりがちですが、このギターは厚みがあるので普通のアコギとして十分使えます。まあ「ピックアップの付いたアコギ」くらいに考えておくといいんではないでしょうか?

参考動画

僕が購入する際に参考にした動画を紹介しておきます。海外のものですが、実音が聴けるチャンスはやはり貴重ですね。

こちらはすべてピックアップを通した音のようです。エフェクターの効果がよくわかります。

ロシア語ですが字幕をONにすると英語のコメントが出ます。前半では生音が聴けるようです。

なおこれらは海外向けの仕様ですので、トップはflamed mapleと紹介されています。

まとめ

実売2~3万円台のエレアコというのは他にないわけではないですが、純正のギグバックまで付いてこの価格というのは抜群のコストパフォーマンスだと思います。それでいて作りが雑というわけではなく、きちんと丁寧に作ってあると思います。まあ細かいことを言えばサウンドホール内のブレイシングの削り方が雑だとか、塗料の飛沫が気になるなど外から見えない部分では雑なところもあるんですが、この値段としては上等すぎるくらいの出来だと思います。

素材的にはトップ・サイドバックともにアコギには珍しい材が使われているので、かなり際立ったキャラクターだと思います。あまりオーソドックスなものより個性的なのが好きな方にはおすすめできます。独特なルックスとカラーバリエーションもこのギターの魅力です。音質は好き嫌いが分かれると思いますけど、エッジの効いたキラキラした音が好きな方には受け入れやすいと思います。

サイズ的には比較的小振りで体の小さい人にも弾きやすく、弦高が低めに設定されているので初心者が最初に持つ一本としてもかなりおすすめできると思います。

コメント