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【第3回】3種類のマイナースケール

投稿日:2018年1月15日 更新日:

第2回ではハ長調とハ短調を取り上げてメジャースケールとマイナースケールの違いについて説明しましたが、話がややこしくなるため触れなかったことが一つあります。実はマイナースケールは導音を持たないため不完全なスケールと考えられており、それを解決するために3種類のマイナースケールが人工的に生み出されました。そのためメジャースケールに比べて複雑になっているのです。今回はこの3種類のマイナースケールとそれが導き出される理由について解説します。

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ナチュラルマイナースケール

前回は最初にCメジャースケールの平行調として生まれるAマイナースケールを取り上げ、そこからCマイナースケールに移し替えるということを行いましたが、これは正確に言うとナチュラルマイナースケール(自然的短音階)と呼ばれるものです。以下にもう一度Cナチュラルマイナースケールについて楽譜を示しておきます。

マイナースケールには導音となる音が存在しないと述べましたが、もちろんCナチュラルマイナースケールでも主音の一つ下はシ♭ですから主音とは全音離れています。そのため主音に戻ろうとする力はメジャースケールに比べて弱くなってしまうのです。

ハーモニックマイナースケール

導音がないなら無理やり作ってしまえ!ということで、第7音のシ♭を「強引に」半音上げてシ♮(ナチュラル)にしたものをハーモニックマイナースケール(和声的短音階)と呼びます。

これで形式的にはシの音が導音として機能するため、メジャースケールと同じになったわけです。後にコードのところで説明しますが、このシの音は和声を進行させる上で欠かせない原動力となるため、特にこの呼び名があるわけです。

ただシの音を半音上げたため、今度はラ♭との音程が全音+半音、すなわち増2度になってしまうという問題が生まれます。実際に弾いてみるとわかりますが、ラ♭とシの間が開きすぎて不自然に聞こえるだけでなく、とても歌いづらくなってしまいます。

メロディックマイナースケール

ハーモニックマイナースケールでは歌いづらいという問題を解決するため、今度はラ♭の音を強引に半音上げてラ♮にしたものをメロディックマイナースケール(旋律的短音階)と呼びます。

これでラとシの間は全音、すなわち長2度になったため、メロディーとしては自然に歌いやすくなりました。それが旋律的と呼ばれる所以です。

しかしよく考えると、これは第3音以外はすべてメジャースケールと同じになってしまうことに気づくでしょう。導音を無理やり作ろうとしていじくり回した結果、メジャースケールに限りなく近づいてしまったのです。これではマイナースケールの意味がないということで、下行形すなわち音が下がるときには第6音と第7音にフラットを付け、ナチュラルマイナースケールと同一にするように改良が行われました。何とも強引すぎますね(笑)。

都合上、上行形と下行形に分かれていますが、実際には音の上下に合わせて厳密に使い分けなければならないというわけではありません。音が下がるときに上行形を使うこともあるし、もちろんその逆も可能です。要はコードとの兼ね合いで臨機応変に使い分けるということなのです。

3つのマイナースケールは混在させてよい

マイナースケールはもともと不完全であると述べましたが、その不完全さを解決するために改良した結果、さらに別の弊害が生まれてしまうことになりました。マイナースケールはどのようにいじってもやはり不完全であることには違いないのです。

したがって、最も改良されたメロディックマイナースケールが一番優れているというわけではありません。どのスケールも同じくらい「不完全」なのです。ですから楽曲の中では一曲を通してずっと同じスケールで作らなければならないというわけではありません。実際にはナチュラルマイナースケールを基本として、必要に応じてハーモニックマイナースケールやメロディックマイナースケールが部分的に現れるケースがほとんどです。その場合は臨時記号が付くことになります。逆に言えば短調はそれだけ自由度が高いとも言えますね。

第3音こそが最も重要

後に説明しますが、マイナースケールには3種類あるということは、そこから派生するコードも3通りあるということで、このことがマイナースケールを複雑にしています。しかし第3音だけはどのスケールを使おうと必ず短3度の音程になっていることに注意して下さい。すなわち長調であれば主音と第3音の音程は必ず長3度ですが、短調では必ず短3度になります。この第3音こそが長調と短調を分ける決定的な特徴であることを覚えておいて下さい。

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