サンプリング条件の設定

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かんたんモードではあらかじめ決められた標準的な条件でサンプリングを行いますが、詳細モードではサンプリング条件を自由に設定することができます。条件の設定によっては解析結果が大きく異なることがありますので、ここでの説明をよく理解してお使いください。

サンプリングの手法

ゆらぎアナライザーが採用しているサンプリングの手法について説明します。周波数モードと振幅モードでそれぞれ異なります。

周波数モード

周波数モードではゼロクロス法によって周波数を推定します。ゆらぎアナライザーは[サンプリング周期]で設定された時間ごとにウェーブデータを区切り、その中で振幅がゼロの軸と何回交差するかをカウントします。具体的には上図の赤い線と波形が交差する回数をカウントします。正弦波であれば一周期の間に必ず2回交差するため、交差した回数を2で割ってサンプリング周波数を掛けたものがその区間における平均的な周波数とみなすことができます。

振幅モード

振幅モードでは振幅の実効値(RMS)を求めます。ゆらぎアナライザーは[サンプリング周期]で設定された時間ごとにウェーブデータを区切り、その中の振幅の2乗の総和を求め、それをサンプル数で割ったものの平方根をその区間における平均的な振幅としています。

サンプリング周期の設定

サンプリング周期はウェーブデータを区切る時間の長さをミリ秒単位で指定するものです。ゆらぎアナライザーはここで指定された時間ごとにウェーブデータを区切って周波数あるいは振幅のサンプリングを行います。ウェーブデータのサンプリング周波数とは全く無関係ですので混同しないようにしてください。

デフォルトではサンプリング周期は25msecに設定されています。この場合のサンプリング周波数は40Hzとなり、ナイキストのサンプリング定理により、有効なゆらぎ周波数はその1/2の20Hzとなります。またこの場合、検出可能な音の最低周波数も20Hzとなります。これは人間の耳に聞こえる最低周波数が約20Hzであることからも妥当な値といえます。

サンプリング周期は短すぎても長すぎても不都合が生じます。上記のデフォルト値は多くの可能性を考慮して最大公約数的に決定したものです。楽曲の特性によっては異なる値を採用した方が良い場合もあるかもしれません。

一般にサンプリング周期を短くするほど時間分解能は向上しますが、周波数の精度が低下してばらつきが増大します。サンプリング周期を長くすると周波数の精度は向上しますが、代わりに時間分解能が低下します。両者はトレードオフの関係にあり、両立させることは不可能です。

バイアス値の設定

サンプリングウィンドウに表示されるグラフは時間に対する周波数あるいは振幅の変化を表したものですが、特に周波数モードの場合は突出的なピークが見られることがあります(赤で囲った部分)。周波数の最大値を見ると10000Hzを超えています。通常の楽曲でこれほど高い周波数が現れることはまずありません。これはウェーブデータの無音部分にごくわずかなノイズが乗っているために、それを拾って異常な高周波成分が出ているものです。このようなピークが存在するとスペクトルに高周波成分が多く発生して、信頼性が低下する原因になります。

このような問題を避けるため、ゆらぎアナライザーではバイアス値を設定してゼロクロスをカウントするラインをずらすことができます。これにより微小なノイズを避けて正確にカウントを行うことができます。もちろん基準ラインをずらしたことにより本来の周波数もわずかに影響を受けますが、それはノイズの影響に比べればごく小さいものです。

バイアス値は16ビットで量子化した場合の整数値で指定します。つまり、振幅の最大値を32768として、それに対する割合となります。正負どちらにも設定できます。通常は5~20程度の小さい値でほとんどのノイズは除去することができます。

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