楽節と終止

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ここで終止のパターンについて一度整理しておきましょう。なお、ここで言う「終止」とは今までに出てきた「終止形」とはまったく別物ですので混同しないようにして下さい。

楽節と終止

曲の中で一つの区切りとなる単位のことを楽節と呼びます。別に長さに決まりがあるわけではありませんが、一般的には4小節ないし8小節が一つの楽節になることがほとんどです。たとえばポップスでいえばAメロ、Bメロ、サビといったものがこれに当たります。それ自体が一つのフレーズとして完結しており、何度か繰り返される一つのかたまりと思えばいいわけですね。そしてこの楽節の終わり方には大きく分けて次の3つのパターンが存在します。

全終止・半終止・偽終止

全終止

楽節がスケール上の主和音(トニック)で終わるとき、全終止と呼びます。曲の終わりはたいていこうなっていますし、曲の途中であってもいったん区切りをつける場合にも使われます。最も安定した主和音で終わるわけですから、いかにも「終わった」という感じを与えることができます。

半終止

楽節がドミナント、すなわちVやV7の和音で終わるとき、半終止と呼びます。これはいったん区切りをつけるけれどもまだ続きがある感じを与えたいときに使われます。たとえばAメロを2回繰り返すような場合、1回目の終わりは半終止にしてまだ続きがあるように思わせるのが常套手段ですね。なおドミナントとしてV7を使うと次にIにつながる感じが非常に強くなってしまうため、いったん区切りをつけるという意味ではVを使うのが望ましいとされています。

偽終止

楽節がトニックの代理コード、すなわちIIImやVIm(マイナースケールでは♭IIIまたは♭VI)の和音で終わるとき、偽終止と呼びます。これはV7からIへ進んでいったん終わるように見せかけておいて別の展開に入っていくときに使われます。たとえばポップスではサビに入る前などに典型的に見られます。これを効果的に使うと聴き手の予想をいい意味で裏切ることができて、曲にメリハリをつけることができます。

以上、楽節と終止について解説しましたが、実際の曲では複数の楽節から成り立っており、一つの楽節を繰り返したり、少し変形したりすることがよく行われます。したがってコード進行を組み立てる場合には、まず曲全体の構成を考えて「設計図」を作るのが手っ取り早いといえます。そこで各楽節ごとに終止のパターンをどうするかを考えていけばうまく行きます。

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