コード作曲法 ~藤巻メソッド~

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最近読んだ本のご紹介です。たぶんこの本は作曲本の中でも有名な部類だと思うので、知っている方も多いと思いますが、遅ればせながら初めて読んでみました。


この本の特徴は付録のDVDにあります。本の内容を詳しく解説した音声番組が合計240分以上も収録されています。もちろん本の章と一対一に対応しているので、見比べながら聴くこともできますが、音声を聞いているだけでもサウンドが自然と耳に入るような工夫が凝らされています。本はわずか94ページとボリュームも少なめですが、どっちかといえば本は譜面を確認するためだけで、メインは音声番組の方と思った方がいいでしょう。これが結構優れもので、スマートフォンなどに入れて繰り返し聴いていると、それだけでいい勉強になります。本は見なくても、「このサウンド、カッコいいな」とか直感的にわかります。気になるところは後から本で確認すればいいのです。これなら通勤途中などでも、いつでもどこでも気軽に勉強できますね。セリフを暗記してしまうくらい繰り返し聴けば、確実に自分のものになると思います。これまでCDなどが付いた本はいくらでもありましたが、サンプルを聴くだけの補足的なものでした。しかし、この本ではサウンドと解説を同時に聴けるので、それだけでスンナリと頭に入ってしまうのです。今までこういうタイプの本はなかったので画期的だと思います。

正直言って、この本はかなりレベルが高いので、まったくゼロから音楽理論を勉強する人には難しいと思います。どっちかといえば経験者向けです。今まで読んだ本では物足りない、あるいはよく理解できなかったという人にこそおすすめします。最初の方は知っていることも多かったですが、調号の増える順序の法則など、なるほど!と思わされることもありました。この本は特にテンションに力を入れているのが特徴です。これまでテンションについて勉強したけれども、どう使っていいのかわからないという人(自分もそうですが)は間違いなく理解が深まると思います。サウンド的にも初めからテンションを前提としてバンバン使ってますので、具体的にどうやって使うのかもいい勉強になります。「カッコいいサウンド」の秘訣がこれでわかったような気がしました。

一つのメロディーについて、コードを付ける方法はいくらでもあるという、いわゆるリハーモナイズも興味深かったです。なるほどそうだったのか!と目から鱗が落ちることもしばしば。いろんなジャンルにアレンジしたサンプル曲も聴けますので、それだけで結構楽しめます。また後半ではクラシックの楽曲についてアナリーゼ(分析)を行っています。これはぜひ一度は自分でコード付けをやってみることをおすすめします。別に間違ってもいいから、自分でコードを見つけていくことが大いに力になります。複雑に見える楽曲でもコード進行は案外単純なんだということにも気づかされました。最後はオーケストラの楽器についても触れられています。各楽器の音域や、特にややこしい移調楽器についてもわかりやすく解説されているので、DTMでオーケストレーションを行う際の参考になります。作曲本といえばたいてい歌モノ系が多いので、こういうオーケストレーションまで触れられた本はなかなかないと思います。

これまで曲を作ったけれども何となくダサい(自分のことです^^;)、DTMでカッコいいサウンドを作ってみたいと考えている方にはうってつけの本だと思います。自分もこの本を読んで曲作りのレベルが一段上がったのを実感できました。

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