Notion 6でMusicXMLのエクスポートが改良された

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昨年8月頃にPC版Notionの最新版であるNotion 6がリリースされたので、早速アップデートしました。何と半年も放置して今頃になってレビューします(笑)。

以前、『NotionのMusicXMLエクスポート機能は不完全』という記事を書きました。確かにNotion 5のときは酷くて、非常に古いフォーマットのため他のソフトで読み込めなかったり、重要な情報が欠落したりして全く使い物になりませんでした。それで仕方なく自作のソフトで修正するしかありませんでした。

Notion 6にアップデートした理由の一つは、MusicXMLの機能が改良されたというアピールがあったからです。ところがリリース直後のNotion 6はやはり以前のままで何も改善されていませんでした。後にリリースされたマイナーアップデートでようやくMusicXMLエクスポートの問題が改善されたようなので、今回はこの機能がどのくらい使えるのか詳しく検証してみました。

まず下の譜面はNotion 6で作成してそのままPDFに出力したものです。いろいろな表現を試すためだけに作りましたので、音楽性は無視して下さい(笑)。

そしてNotion 6からMusicXMLでエクスポートし、それをFinale PrintMusic 2014にインポートしたものが下の譜面です。

この2つの譜面を比較しながら、どの項目が反映されたりされなかったりするのか検証してみます。

どこまでがMusicXMLに反映されるのか?

PrintMusicにインポートした結果、少し時間がかかりましたがすんなりと読み込めました。以前のようにエラーになったり、フォーマットがメチャクチャになるようなことはありませんでした。結構まともになったという印象です。

以下、項目別に反映の可否について検証していきます。

タイトル・作曲者など

Notion 5では日本語が文字化けするという恐ろしい仕様でしたが、日本語もちゃんと通るようです。「日付」が抜け落ちていますが、これはもともとPrintMusicにはない項目なので当然でしょう。

1行の小節数

PrintMusicにインポートすると、1行あたりの小節数は元の譜面と一致しませんでした。小節の長さに応じてPrintMusicによって自動的に割り振られているということでしょう。したがって、組段の情報は出力されないと考えられます。

速度記号

テンポはそのまま反映されるようです。一応モデラートなどの速度標語も再現されていますが、フォントが本来のものではなく、単なるテキストに置き換えられています。

パート名

1段目のフルネームは再現されましたが、2段目以降の省略形は抜け落ちました。

音符

当たり前ですが、全音符、2分音符、4分音符、8分音符、16分音符、付点のついた音符はそのまま再現されています。3連符も正常に再現されました。ただしもっと複雑な連符はどうなるかわかりません。

装飾音符

2小節目を見ると、8分音符、16分音符の装飾音符が正常に再現されていることがわかります。ただし斜線は付きませんでした。これはPrintMusicの仕様によるものと思われます。

変拍子

5小節目だけ3/4拍子に変えてみましたが、正常に再現されています。

小節途中での音部変更

8小節目の3~4拍目を低音部をト音記号に変えてみましたが、正常に再現されています。

連桁

連桁(複数の音符のつながり)はすべて元通りに再現されています。8小節目ではわざと通常とは異なる位置で切ってみましたが、それも再現されています。

タイ/スラー

6~7小節目のタイ、および8小節目のスラーは正常に再現されています。

強弱記号

mp, mfなどの強弱記号は正常に再現されています。

クレッシェンド/デクレッシェンド

7~8小節目で正しく再現されていることがわかります。

コードネーム

コードネームはあるべき位置に正しく再現されています。ただし7小節目だけはCmaj7とC7が重なってしまいました。これはNotion側の仕様で、音符のある位置にしかコードネームを置けない制約によるものでしょう。3拍目には高音部の音符がないため、1拍目にずれてしまったと考えられます。また分数コードもちゃんと再現されていますが、あまり複雑なテンションコードになるとどうなるかはわかりません。

表現記号

2小節目のスタッカート、3小節目のアルペジオ、6小節目のトリルは正常に再現されました。ただし最後のフェルマータとリタルダンドは抜け落ちてしまいました。

ペダル記号

ピアノの譜面で用いられるペダル記号は見事に抜け落ちました。

五線をまたぐ連桁

7小節目のように右手で弾くパートが一時的に低音部に移行する場合も正常に再現されました。実はこれはPrintMusicではできなくてフルセット版のFinaleだけの機能なんですが、PrintMusicでも入力はできなくてもMusicXMLから取り込んで表示はできるようです。

複声部

9小節目のように、1段の五線に複数の声部が共存する場合も正常に再現されました。

親切な臨時記号

6小節目にあるファのナチュラルは、本来なら不要なものです。ただ直前の小節でファ#があるため、それを元に戻すことを明らかにするためにわざわざナチュラルを付けて明示しているわけです。こういうのを「親切な臨時記号」と呼んでいますが、これもちゃんと再現されるようです。

リピート記号

繰り返し記号はもちろん、1番・2番括弧も正常に再現されたのは意外でした。ただしダルセーニョ、コーダなどはたぶん無理ではないかと思います。

小節線

5小節目の二重線、最後の終止線は再現されませんでした。もともと情報が入ってないようです。

まとめ

Notion 6になってMusicXMLのエクスポートはかなりまともになった印象を受けます。というかNotion 5が酷すぎただけなのですが・・(苦笑)。それほど複雑なことをやらなければ、他のソフトに持っていってもそこそこ使える気がします。

ただ、やはり肝心なところで情報の欠落があり、あと二歩くらい足りないと言わざるを得ません。もうちょっと頑張ってほしいところです。

それにNotionの入力方法は独特なので慣れないとなかなか取っつきにくいと思います。どちらかというと、Notionで入力するよりもPrintMusicで入力してMusicXML経由でインポートした方が楽でしょう。さすがMusicXMLを策定した会社だけあって、PrintMusicのMusicXMLエクスポート機能は非常に優秀で、ほとんどの情報が漏れなく再現されます。NotionもMusicXMLのインポートは割と賢いので、ほとんどそのままの形で取り込むことができます。

やはりNotionは高品質な音源ライブラリと演奏表現の豊かさを生かして再生用と割り切って使うのが良さそうですね。PrintMusicは入力自体はしやすいのですが、できそうでできないことが結構あってどうしてもフルセット版のFinaleが必要になるようにできています。その点、Notionは楽譜の表現力が非常に豊かなので、もっと入力がしやすければ良いのにと惜しまれるソフトです。

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