ケーナを吹こう

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ケーナとは?

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ケーナ(Quena)とは南米ペルーを発祥とする民族楽器で、縦笛の一つです。もともとはチチカカ湖の畔に生える葦で作られたと言われていますが、現在では葦のほかに竹や木材などが使われています。その音は大変素朴で温かみがあり、「コンドルは飛んで行く」などの演奏で誰もが一度は耳にしたことがあると思います。ペルーやボリビア、アルゼンチンを中心とした民族音楽である「フォルクローレ」の旋律を担当する楽器として広く親しまれています。

ケーナの構造

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ケーナの構造はきわめて単純で、中空の筒だけでできています。何の仕掛けもありません。楽器としては最も原始的な部類に入ります。音程を変えるための穴が表側に6個、裏側に1個だけあります。そして息を吹き込む部分には「唄口」と呼ばれるU字形の切れ込みがあるのが特徴です。

この構造は、実は日本の尺八に酷似しています。穴の数は異なりますが、発音の原理はまったく同じもので、やはり尺八に似た音がします。地球のちょうど反対側にまったく同じものがあるというのは何とも不思議な気がします。

発音原理

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ケーナはリコーダーやオカリナ、フルートなどと同じく、リードを持たないエアリード楽器の一つです。これらの楽器は発音原理はすべて同じなのですが、リコーダーやオカリナのように音を出すためのウィンドウェイという仕組みが存在しません。その代わりにU字形に切り込まれた唄口と自分の唇でウィンドウェイと同じものを作ります。具体的には、唇から出た息を唄口にぶつけることにより気流を二つに分かれさせ、管の内側と外側に空気の渦ができることによって発音します。フルートも同じ方法で音を出します。最初は音を出すまでに訓練を必要としますが、リコーダーやオカリナのように唄口が固定されていないので、一度慣れてしまえば大変豊かな表現力を引き出すことができます。

ケーナの魅力

音色の美しさ

ケーナの最大の魅力は何と言ってもその音色にあります。木や竹などの自然の素材から生み出される素朴な音色は時に明るく、時に哀しく心に響き、魂を揺さぶる魅力を持っています。言葉で説明しなくても、フォルクローレの名演を聴いてみれば誰しもその魅力に引き込まれるでしょう。

多彩な表現力

ケーナはきわめて単純な構造でありながら、大変豊かな表現力を持っています。リコーダーやオカリナのように唄口が固定されていないため、吹き方によって微妙に音色を変化させることができます。もちろん吹き手の技量によっても音色は大きく異なります。音程を微妙に揺らして心地よいうねりを作るビブラート、音程をなめらかに変化させるポルタメントなど、多彩な表現法が可能で、上達すればするほど豊かな表現力を身につけられる喜びがあります。

演奏が簡単

ケーナは音を出すまでは確かに難しいですが、一度音を出すことができれば運指自体は非常に単純です。何と言っても穴が全部で7つしかありませんので、下から順番に開いていくだけで1オクターブ吹けます。半音だって穴を半分開けるだけで出せますから、とても単純明快なのです。覚えることがとても少ないので楽です。

音域が広い

当サイトでは楽器をはじめたい方にオカリナをおすすめしていますが、オカリナは音域が狭いことが最大の弱点です。通常、音域は1オクターブ半ほどしかなく、曲によっては音域が足りなくて演奏できないこともしばしばあります。それに比べてケーナは最低でも2オクターブ、上達すれば2オクターブ半から3オクターブ近くまで出すことができ、音域が大変広いことが特徴です。そのため、いわゆる歌ものであればまず確実に演奏することができますし、少し音域の広いクラシックの名曲でも頑張れば吹けるようになります。

楽器が安い

どんな楽器をはじめるにせよ、楽器というのはかなり高価なものです。特に管楽器は非常に高価で、たとえばフルートなら一番安いものでも最低7~8万円から、少し本格的なものになると20万円以上は覚悟しなければなりません。続けられるかどうかわからないものに何十万円も出すのはさすがに勇気の要ることでしょう。ところがケーナは構造自体が単純なので、楽器も安価なのが特徴です。安いものなら数千円から、少し高級なものでも1万円出せば手に入ります。しかも自分で作ることさえできてしまいます。これなら初期コストの問題で躊躇していた人も気軽に始めることができますね。

材質による音の違い

一口にケーナと言っても、いろんな材質で作られたものがあります。最も一般的なのは竹ですが、他にも葦や木材で作られたケーナもあります。また安価なアクリル管などを使って自作することもできます。当然、材質によって音響特性が変わってくるので、それぞれ違った音色を楽しめます。楽器自体も安いものですから、いろんな楽器を使い分けるのも楽しみの一つでしょう。

持ち運びが楽

ケーナというのは長さがだいたい37センチくらい、重さは100グラムにも満たないものですから、持ち運びするのがまったく苦になりません。もちろん電源も要りません。したがってどんな場所にでも持って行って吹くことができます。ケーナは自然の素材で作られたものですから、やはり山などの大自然の中で吹くと自然と一体化する喜びを味わえます。

ケーナをすすめる理由

当サイトでは、何か楽器をはじめたいと思っている人にはまずオカリナをすすめています。確かにそれは間違いではありません。オカリナなら誰でも30分ほど練習すれば一曲吹けるようになります。楽器をはじめるにあたって一番大事なのは「演奏する楽しさ」を味わえることだと思います。これがたとえばサックスのように音を出すこと自体が難しい楽器だと、それだけでくじけてしまい、演奏までたどり着く前にあきらめてしまいます。ですからオカリナのように簡単に演奏する楽しさを味わえる楽器はモチベーションを維持する上でとても有用なのです。

ただ、オカリナの場合はちょっと上達してくるとすぐ「音域が足りない」という問題にぶつかります。オカリナは物理的に音域が狭いのでどうしようもない問題なのです。もちろんそれを工夫でカバーしながら演奏するのがテクニックなのですが、どうしてももっと広い音域を手に入れていろんな曲を自由に吹いてみたいという欲が出てきます。そこでケーナに目を向けるわけです。

ただしケーナは決して簡単な楽器ではありません。まず音を出すこと自体がかなり難しいです。ここがオカリナと根本的に異なるところです。オカリナが万人を平等に受け入れるのに対して、ケーナは一番最初の段階で人を選んでしまいます。最初の関門をくぐり抜けた者だけがその先へ進むことを許されるのです。しかしそこを乗り越えた先には自由ですばらしい世界が待ち受けています。CDで聴いた名手たちのあのすばらしい音色を自分も出してみたい・・それがどんな困難をも乗り越えるモチベーションになるはずです。

ケーナというのは構造が単純な分、演奏者のテクニックでカバーしなければならない部分がかなりあります。また上達すればするほどさまざまな表現法を身につけることができ、レベルアップを実感できます。いくら極めてもこれで終わりということはありません。それだけにやり甲斐があり、自分の音を求めてさらに上を目指し続けることができるのです。シンプルだけれども奥が深い・・それがケーナの不思議な魅力だと思います。

どんな曲を演奏するの?

ケーナといえば一般的にはフォルクローレの楽器と思われていますが、別にフォルクローレだけを演奏するものではありません。日本の童謡や演歌からJ-POPに至るまで何でも吹けますし、音域の広さを活かしてクラシックに挑戦することもできます。音色が尺八に似ていることから、意外と日本のメロディーにはよくマッチします。最初はいきなりフォルクローレに挑戦するよりも、誰もがよく知っている「月の沙漠」や「荒城の月」などの童謡・唱歌をしっかり吹けるように練習するのが上達の早道です。これらを情感たっぷりに吹くことができれば、それこそ人を泣かせることができるはずです。

ケーナで吹けるように移調可能なPDF楽譜をご用意していますので、ご利用下さい。

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