ProTools 8 / ソフトウェア音源

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これまでSONARやCubaseなどのDAWに比べてPro Toolsが決定的に劣っている点は音源の弱さでした。Pro Tools 7.4にはStructure Freeというサンプリング音源が一応付属していましたが、音色数も少なく、それだけで完結するようなものではありませんでした。そこでどうしても外部のハードウェア音源やRewireに対応したソフトウェア音源と組み合わせる必要がありました。これはPro Toolsがオーディオレコーディングに指向した製品であったことから当然の成り行きといえます。

しかしPro Tools 8になって大きく事情が変わりました。これまでのオーディオレコーディング専用的な位置付けからDTM向けへ大きく方向転換したため、付属する音源の種類が一気に増えたのです。それもオマケ的なものではなく、それだけで十分音楽制作に使えるクォリティーと完成度を持ったすばらしいものになっています。これで他に音源を揃えなくても、とりあえずこのパッケージ一つですぐに音楽制作を始められるようになったわけです。しかも価格は据え置きですからこれほど嬉しいことはありません。

新しく追加されたソフトウェア音源にはアナログシンセを模したVacuumやハモンドオルガンをシミュレートするDB-33などユニークなものがありますが、中でも僕が一番気に入っているのはピアノ音源のMini GrandとプリセットサンプラーのXpand2です。ここではこの2つについて詳しくご紹介していきましょう。

Mini Grand

Mini Grand
Mini Grandの画面

その名からわかるようにグランドピアノをイメージしたピアノ音源です。サンプリング波形の総容量は1GBもある本格的なもので、ニュアンスの異なる7種類の音色を持っています。さらにリバーブ系のエフェクトも内蔵されていて、これだけで雰囲気のあるピアノ音色を再現することができます。

僕は曲を作るときにピアノの音色にすごくこだわります。やはり気に入った音色でないと気分が乗らないからです。ピアノ音源はこれまでいくつか試してきましたが、なかなか気に入ったものには巡り会えませんでした。ところがこのMini Grandは一聴して良いと思いました。さすがに贅沢に容量を使ってるだけあって、低域から高域まで倍音に富んだリッチな響きが得られます。タッチの強弱によるニュアンスの差も絶妙です。これまで使ったピアノ音源で最も満足のいくものでした。これが欲しいためにバージョンアップしたと言っても過言ではありません。

このMini Grandを使って制作した曲を紹介しておきましょう。実際の音を聴いて実感して下さい。

Xpand2

Xpand2
Xpand2の画面

一般的なDTM向けDAWでおなじみのマルチティンバー音源です。基本的には独立した音源モジュールが4系統あり、それぞれで音作りができるほか、最大で4つのモジュールを重ね合わせることにより、さらに複雑で厚みのある音色を作り出すこともできます。2系統のエフェクターも内蔵されており、モジュールごとにレベルを調整することができます。また最大同時発音数は64と十分なスペックです。

特筆すべきは音色数の多さで、プリセットだけでも数百ものパッチが用意されています。楽器の種類も一般的なロック・ポップス系から、オーケストラ系、シンセ系、さらにはエスニック系に至るまであらゆるジャンルの音楽に対応できる音色が豊富に揃っています。しかもそのどれもが品質の高いものばかりで驚きます。まさにこれさえあればSONARやCubaseにも負けない楽曲制作がすぐにでも可能でしょう。

このXpand2だけを使って制作した曲を紹介しておきましょう。実際の音を聴いて実感して下さい。

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