iRig Keys 37を買いました

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IK Multimediaから11月に発売されたばかりのMIDIキーボードiRig Keys 37を早速購入しました。これまで電子ピアノを入力用キーボードとして使っていたのですが、電子ピアノは当然机の前には置けません。DAWでMIDIの打ち込みをするにはPCのキーボードとMIDIキーボードを両方操作する必要があるわけで、そうすると常に体の向きを変えながらPCと電子ピアノを行ったり来たりしなければなりません。これでは非常に効率が悪いですし、不自然な姿勢を強いられるので長時間やってると疲れてきます。そこで机の上に置ける小型のMIDIキーボードが欲しかったのです。

今は新製品ラッシュなのか、コルグからもmicroKEYの新型が出ましたね。個人的にはコルグフェチなんで(笑)、microKEYには心が動きましたが、あえてiRig Keysを選んだのは、おまけにSampleTank 3 SEというVSTプラグインが付いてくるからです。これはSampleTank 3フルバージョンの下位グレードという位置付けですが、全部で400種類の音色を搭載したかなり本格的なサンプリング音源となっています。どちらかというとキーボードよりこちらに興味があったのですね(笑)。これはパッケージ版として市販されているものと同じですが、単品で買うと14,000円くらいします。しかしiRig Keys 37を買えば実勢価格11,880円(税込)ながらタダでSampleTank 3 SEが付いてくるのです。どう考えても不思議な価格設定ですね(笑)。これが欲しければiRig Keys 37と一緒に買うしかない!って感じです。

iRigKeys_37
机の上に置いてみました。横幅はPCのキーボードより6cmほど大きいだけで、十分机の上に置けます。これで不自然な姿勢から解放されます。ちなみにこれはミニ鍵盤タイプで、標準鍵盤タイプのiRig Keys 37 PROという製品もあります。もちろん標準鍵盤の方が弾きやすいですが、37鍵といえどもかなり大きくなってしまうので机の上に置くのが厳しくなります。ここはステップ入力用と割り切ってコンパクト性を優先することにしました。

またiRig Keys 25という25鍵モデルもラインナップされていますが、どうせ買うなら37鍵にした方がいいと思います。というのも、ほとんどの歌モノはト音記号の五線を中心とした範囲、つまり低いソから高いシくらいの間に収まっていますので、真ん中の1オクターブを挟んで両側にもう1オクターブあれば、オクターブシフトをしなくても入力が可能になるからです。これが25鍵だとどうしても頻繁にオクターブシフトをする必要が出てきますね。かといって49鍵や61鍵だと大きすぎて机の上には置けなくなります。この37鍵というのは大きすぎず小さすぎず、実用性を兼ね備えた絶妙なサイズだと思いますね。

肝心の弾き心地ですが、タッチはよくあるシンセ鍵盤と同じようなグニャッとした感じであまり高級感はありません。といっても作りはしっかりしているので普通に弾く分には問題ありません。そしてこういうミニ鍵盤全般に言えることですが、鍵盤の奥の方は弾けません。鍵盤全体が沈み込むピアノ鍵盤とは違ってレバー式ですから、奥の方はどうしても重くなってしまうのです。したがって黒鍵を含む和音を多用するクラシックピアノなどを弾くには無理があります。というか弾けません(笑)。もちろんミニ鍵盤ですから標準鍵盤と比べてはいけません。あくまでもミニ鍵盤はステップ入力用と割り切るべきですし、そういうことで文句を言うのは筋違いです。

iRigKeys_37_control
パネルはシンプルですが、コルグのmicroKEYに比べるとスイッチの数が多くなっています。ボリュームノブやPROGキー、SETキーはmicroKEYにはありません。アプリ側で対応している必要がありますが、ボリュームノブを回すとボリュームのMIDIメッセージ、PROGキーを押すとプログラムチェンジのMIDIメッセージが送出されるため、手元でリアルタイムに操作することが可能になります。またこれらの機能をカスタマイズすることもできます。SETキーは現在の設定を4つまで登録しておくことができ、必要に応じてワンタッチで呼び出すために使います。さまざまなカスタマイズはOCTキーを2つ同時に押し、機能が割り振られた鍵盤を押すことで行います。ただマニュアルは英文しかないので、英語アレルギーの人には厳しいかもしれません。(笑)

OCTキーはもちろんオクターブシフトをするために使います。何も押さないデフォルトの状態では左から2つめのドが中央のド(C3)になります。今どのオクターブにいるのか表示する機能がないので心配するかもしれませんが、OCTボタンを1回押せばボタンのバックライトが1回点滅し、2回押せば2回点滅・・というようにシフトした分だけライトが点滅する仕組みになっていますので、切り替えるたびに確認できるようになっています。

あと電源はUSBから供給されるバスパワー方式ですので、外部電源は一切不要です。しかもiPadにも接続して使うことができます(ただしカメラコネクションキットやLightning-USB変換ケーブルが必要です)。手持ちのiPad第3世代で使ってみましたが、挿すだけですぐに認識されて、コルグのiM1などを演奏することができました。持ち運びできるDTM環境が実現するのはちょっと感動です。ただキーボード側の端子がmicroUSBタイプであることがちょっと気になります。おそらく頻繁に抜き差ししていると緩んできて動作不良の原因になるんじゃないでしょうか? 耐久性を考えるとmicroKEYのように普通のB端子にしてほしかったところですね・・

では次にSampleTank 3 SEの紹介に移りましょう。こちらは本体には付属せず、インターネットからダウンロードしてインストールする形になります。まずIK Multimediaのアカウントを作成し、本体に同梱されているシリアルナンバーを入力してiRig Keysを登録すると、SampleTank 3 SEがアカウントに追加されてダウンロード可能になります。そして発行されたシリアルをアプリ側に登録して認証される仕組みです。このアプリ自体は小さいですが、2.5GB程度のサウンドライブラリが2つあるのでダウンロードに結構時間がかかります。夜間にやったらものすごく遅かったので、なるべく早朝など空いている時間にやった方がいいと思います。

SampleTank 3 SEはVST/AAXプラグインとして動作するほか、単体のアプリとして起動することも可能です。したがって対応するDAWを持っていなくても演奏して楽しむことはできます。

SampleTank3_Piano_Info
これはスタンドアロンで起動した画面です。左のリストから楽器を選び、下のINFOボタンを押すと詳細が表示されます。これはグランドピアノですが、582MBの容量を使ったかなりリッチな音色になっています。

SampleTank3_key_switches
また音色によってはキースイッチに対応していて、一番下や一番上など音域外のキーを押さえることで演奏表現(アーティキュレーション)を使い分けることができます。上はストリングスの場合ですが、トレモロやピチカートなどの奏法を鍵盤だけで使い分けられます。そのためにわざわざ複数のトラックを用意しなくて済むので、これは便利な機能でしょう。

一番気になるのは、どんな音色が入っているのか?ということでしょう。実は事前にサイトを見てもよくわからなかったので後から気づいたのですが、こちらのページにちゃんと一覧がありました(ただし英語です)。一応、実際のプラグイン画面からキャプチャした音色リストをここに貼っておきましょう。

SampleTank3_Piano
ピアノは大きく分けて3種類です。グランドピアノ1の方は5つのバリエーションがありますが、すべて波形は同じものでパラメータを変えただけのようです。グランドピアノ2はEcoの名が示す通り、容量をコンパクトにしたバージョンです。そしてもう一つはアップライトピアノがあります。残りのPiano Layersというのは他の音色と組み合わせてレイヤーにしたものです。

ピアノの音質は特別気になるところですが、重厚な低域からきらびやかな高域まで、かなり出来は良いと思いますよ。パラメータの設定である程度音作りもできますので、自分好みの音色に仕上げることも可能です。これだけのために買ってもいいかもしれませんね・・

SampleTank3_Guitar
アコースティックギターはスチール弦とナイロン弦の2種類があります。それぞれかなりリアルな音色で良いと思います。またキースイッチにも対応していてスライドやハーモニクス奏法も表現できます。

SampleTank3_Strings
ストリングスはソロがチェロのみ、アンサンブルはヴァイオリンとフルストリングスのみとなっています。ちょっと物足りないかもしれません。

SampleTank3_Brass
金管楽器はクラシック系がフレンチホルンのみ、ジャズ系がトランペットとトロンボーンとなっていますが、やはり少なめですね。

SampleTank3_Woodwinds
木管楽器はフルート、クラリネット、テナーサックスのみとなっています。それぞれ音色はリアルですが、オーケストラを再現するには種類が足りません。

SampleTank3_Ethnic
エスニック系はエレクトリック・シタール、中国の琴、パンフルート、チベットの鐘のみが入っています。個人的に中国の琴はかなり面白いと思いました。

他にも音色はたくさんありますが、全400音色と言ってもシンセ系でかなり稼いでいるような感じで、生楽器系はそれほど多くありません。これだけでオーケストラを完全に再現するのは無理ですね。まあこれ以上欲しければフルバージョンを買えといったところでしょうか・・。フルバージョンへのアップグレードも可能ですので、最初からフルバージョンを買うよりは多少安くなりそうです。でもSEでも代表的な音色は揃っているので、DTMが初めてでとりあえず使える音色が欲しいといったときには有力な音源になり得ると思います。しかもキーボードを買うだけでタダで付いてくるのですから、これは見逃せません。

最後にSampleTank 3 SEを使って作った音源を紹介しておきます。曲目はラフマニノフの「ヴォカリーズ」になります。ここではチェロとグランドピアノの音色を使っています。

ピアノの入力を考えている人はちょっと待った!

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